大阪の台所「黒門市場」の年末は、一年で一番活気のある時期だ。食にうるさい大阪人も舌を巻く新鮮で魅力的な食材が所狭しと並ぶ。そんな食の宝庫で一際目を引く店が通称「黒門丸一」こと丸一商店だ。ただの魚屋と思ったら大間違い。この店に並ぶ鮮魚は、2代目店主の由井政伸氏のお眼鏡にかなった最高級品ばかり。食材の質にこだわり続ける店なのだ。
「うちは50年以上の歴史があります。先代からご贔屓にしていただいているお客さんもたくさんいますから、品物選びには妥協できませんよ。」
常連客の中には著名な料理研究家の土井善晴氏も名を連ねる。その付き合いは長く父親の土井勝氏から続いている。一流の料理人も認める一級品は、違いのわかる大人たちに愛され続けているのだ。
今の時期、一番人気なのはやはり鍋の横綱「てっちり」。あら身、てっさ用上身、湯引き(皮1尾分)にポン酢、スダチ、ネギ、もみじおろしまで付いたセットは、家庭で豪勢なてっちりができると大好評だ。
また、「まながつお」をはじめとする各種切り身の味噌漬けは「黒門市場のあの味噌漬」として知られる逸品だ。専門家がおせち料理の素材としても評価するこの逸品は、味噌漬け用樽に詰めて送ることができるため贈答用としてもたいへん好まれている。
そんなこだわり食材を日本中に届けたいと同店ではインターネットでの販売も行う。関西ならではの食材も数多く取り扱っているため全国からの注文も多い。
一流の食材への“こだわり”、そして、その”こだわり”を多くの方に届けたいという店主の“真心”が「黒門丸一」人気の秘訣のようだ。
「活けトラフグてっちりセット白子もち」
セット内容 鍋用あら身・てっさ(ふぐ刺)用上身・白子・湯引き(皮)・ポン酢・薬味(ネギ・もみじおろし)。
「黒門市場のあの味噌漬(まながつお)」
まながつおは宮廷料理にも取り上げられる上品な白身。「味噌漬けのために生まれてきたような魚」とは料理研究家・土井善晴氏の談
ビジネスチャンス誌2010年2月号に掲載されました